歯車を設計しようとする際に知っておくべき各部の名称について整理する。歯車がそれぞれどのような要素で構成されているのかを理解することで形状決定パラメータをどのように設定するのが良いのかを知ることができる。
歯車の各部用語の名称
Fig.1に示すように各部の名称を整理する。①各名称 (②英語名称) ③パラメータ文字 の順番で記している。 ※パラメータ文字がないものは表示無し。
(i) 歯面 (tooth surface): 歯車の歯が噛み合い部分。
(ii) ピッチ円 (pitch circle): 2つのかみ合う歯車の接触点を軌跡とする円。
(iii) 歯先円 (addendum circle, outside circle): 歯先を通りピッチ円と同心の円。
(iv) 歯底円 (dedendum circle, root circle): 歯の根元を通りピッチ円と同心の円。歯は歯先円と歯底円の間の領域で形成される。
(v) 歯末の面 (tooth face): ピッチ円よりも歯の先端側の歯面。
(vi) 歯元の面 (tooth flank): 歯末の面とは反対に、ピッチ円よりも歯の根元側の歯面。
(vii) 歯末のたけ (addendum) \(h_k\): ピッチ円から歯先円までの距離。
(viii) 歯元のたけ (dedendum) \(h_f\): ピッチ円から歯底円までの距離。
(ix) 全歯たけ (whole depth) \(h\): 歯底円から歯先円までの距離。\(h=h_k+h_f\)で表される。
(x) ピッチ (pitch) \(p\): ある歯のピッチ円上の点から隣接する歯の対応する点までの円弧の長さ。
(xi) 歯厚 (tooth thickness) \(s\): 上記のピッチのうち、歯の実体がある部分の円弧の長さ。
(xii) 歯溝の幅 (space thickness) \(e\): 上記のピッチのうち、歯厚とは反対に歯の実体がない部分の円弧の長さ。
(xiii) 歯幅 (face width) \(w\): 軸方向の歯の長さ。
(xiv) 基礎円 (base circle): 歯形を決定する際に基準となる円。
(xv) 圧力角 (pressure angle) \(\alpha\): 2つの歯車の接触点の軌跡(共通接線)と接触点を通るピッチ円の別の共通接線とのなす角。
(xvi) インボリュート曲線 (involute): 基礎円に巻き付けた糸をたるまないように外して行った際に糸の先端が描く軌跡。工業用の歯車の標準的な歯形を設計する際に用いられている。インボリュート曲線については以前の記事に詳細を示している。
他にも
・ 頂げき (top clearance) : かみ合う別の歯車の歯末のたけを\(h_k^\prime\)としたときの\(h_f-h_k^\prime\)。
・ バックラッシュ (backlash): かみ合う他の歯車の歯厚を\(s^\prime\)としたときの\(e-s^\prime\)。
などの用語がある。
コメント